【スリランカNEWS 2025年10月号】

このたび、スリランカに関する最新情報をお届けする新シリーズ
「スリランカNEWS」 をスタートしました。

近年、スリランカは観光再開や経済回復の兆しを見せる一方で、国際協力・貿易・雇用など多くの分野で大きな変化を迎えています。

しかし、日本国内ではその「リアルな現地の今」を知る機会はまだ限られています。

現在、naoは旅好きが昂じてスリランカと人材や貿易に関わる観点でビジネスに取り組んでおります。

元々、既存クライアント向けにスリランカNEWSを発布していたのですが、ぜひ多くの方にお届けしたいと思い、ブログでの発信も開始するに至りました。

本シリーズでは、現地ネットワーク(教育機関・人材企業 等)との連携を通じて、以下のようなテーマを毎月の定期更新でお伝えしていきます。

  • スリランカの経済・為替・貿易ニュース
  • 現地の社会情勢・文化行事・教育トレンド
  • 日本とスリランカのビジネス交流や雇用の動き
  • 地域別の観光・暮らし・ローカルレポート
  • naoのパートナー企業の紹介

ニュースといっても、堅苦しい経済記事だけではありません。
実際に現地で感じた空気や、人々の暮らしに宿る温度感を大切にしながら、「現地を旅するように読む経済レポート」を目指します。

スリランカでの事業・留学・旅行を検討している方はもちろん、少しでも興味がある方には一読いただき、「スリランカを知り、世界を知り、日本を知る」ような体験をしていただければと思います。

なぜ「スリランカNEWS」を始めたのか

異国で出会う景色や人々の表情には、数字やニュースだけでは語れないリアルがあります。
私がスリランカに通うようになって感じたのは、この国の成長と人の優しさの両立です。

街を歩けば、祈りの灯りに包まれた寺院や、紅茶畑で働く人々の笑顔、市場で交わされる陽気な声。
それだけでなく、成長の裏には多くの方の並々ならぬビジネスへのバイタリティの高さに触れることが多々ありました。

現にスリランカの方と話していると

「〇〇という職場に勤めているよ。あとはホテルを持っているし観光事業も手掛けている。これから〇〇もやっていきたいんだ。一緒にやらないかい?」

のような会話を当たり前のように交わしていました。

「スリランカ通信」は、そんな現地の「今」を日本の皆さんに届けたいという想いから始まりました。
経済の動きや国際関係、そして日常に息づく文化まで。
ニュースには載らない「現地の空気」を、少しでも感じ取ってもらえたら嬉しいです。


■ 今月のスリランカ経済動向

スリランカ経済は外貨不足から引き起こされた2022年のデフォルト危機以降、国際支援を受けながら回復基調を続けています。
2025年10月時点では、IMFとの職員レベルの合意を経て、改革プランが着実に進行しています。
世界銀行やアジア開発銀行(ADB)も支援枠を拡大し、公共インフラ・農業・観光業を中心に外資導入が進んでいます。

個人的には公共インフラならば高速道路に注力するといいのではと考えています。スリランカは電車はなく(列車のみ)また、高速道路もコロンボ付近にありますが極めて限定的です。

東北地方と同じくらいの面積ですが国内の移動は非常に時間がかかります。交通網を発達させることで流通、観光事業の追い風になることは間違い無いでしょう。

為替は1ドル=約300ルピー前後で安定傾向。インフレ率も昨年の二桁台から一桁へと改善。
スリランカ中央銀行は引き続き「安定成長と外貨確保」を目標に掲げ、金利調整を慎重に実施しています。

また、日系企業との連携も拡大。特に食品加工・物流・再エネ分野での共同プロジェクトが進行中で、
「ポスト危機」から「成長経済」への転換期を迎えつつある印象です。


■ 現地のトピックス:産業・文化の両輪で進む再生

● 農業・観光のハイブリッド復興

農業は、内需回復とともに有機栽培・輸出向けスパイス生産が増加。
特に紅茶・スパイス・ココナッツ製品など、ブランド力の高い輸出産品が再評価されています。

現地の事業者は相変わらずスパイスや紅茶に力を入れているものの、国際的には若干シュリンクしている印象だったので、嬉しいニュースです。

世界的に需要の高い珈琲栽培は極めて限定的。

というのもイギリス植民地時代に元々あった珈琲農園を全て紅茶農園に変えてしまったからです。

現在は少ないながらも国産珈琲もあるものの国際競争力のあるレベルにまで高めていくのにはまだ時間がかかるでしょう。

一方で、輸出産業では不安要素もあります。
アパレル・ゴム・紅茶といった主要輸出品目が、米国の追加関税の影響を受けており、価格競争力の低下による雇用への影響が懸念されています。

観光業は堅調で、2025年10月の外国人観光客数は前年比約25%増
欧州・中東・アジア圏からの旅行者が中心で、「スリランカ=自然と癒しの国」というイメージが定着しています。


■ ローカルイベントと観光情報

●  宗教・文化:祈りと光の季節「ヴァップ・ポーヤ」

10月6日に迎えたヴァップ満月ポーヤデー(Vap Full Moon Poya Day)は、スリランカ仏教において非常に重要な日。
この日は、雨安居(ヴァッサ)と呼ばれる3か月間の修行期間が終わり、「カティナ(僧衣奉納)」の儀式が始まる時期でもあります。

この日には、ブッダが天界で母・マハーマーヤーに説法を行い、地上へと降りてきたという伝説が語り継がれています。
全国の寺院では信徒が僧侶に衣を奉納し、感謝と祈りを込めたセレモニーが行われます。


● 多宗教の国・スリランカを彩る10月の祭り

スリランカは仏教徒が多数を占める国ですが、まさにスリランカの受容性や包容力を表すようにヒンドゥー教・イスラム教・キリスト教の信仰も深く根付いています。

10月はヒンドゥー教のディワリ(Diwali)を筆頭に、バイ・ドゥージ(Bhai Dooj)やチャト・プージャ(Chhath Puja)などが各地で行われました。
夜になると街はカラフルな光に包まれ、祈りの音楽が響きわたります。


● 観光と季節:混雑を避けて旅を楽しむ“快の季節”

10月のスリランカは、南部・西部・高地エリアにおいて快晴と涼風が心地よいシーズン
観光客も比較的少なく、シギリヤ・キャンディ・ヌワラエリヤ・ゴールなどをゆったりと巡ることができる時期です。

特に北部のジャフナやコロンボでは、ディワリフェスティバルを目当てに多くの観光客が訪れ、民族衣装やスイーツ、花火が街を華やかに彩りました。


 

 Lakyota International / Lakyota Educationの現場から

― 日本語教育と未来への架け橋 ―

スリランカで日本語教育と人材育成に取り組む Lakyota Education

現在、naoはこのLakyotaとパートナーとして日本・スリランカにて活動しています。
10月は、教育・農業・文化の3つの軸で多彩な動きがありました。


■ JICA主催の農業プログラムに参加

10月、コロンボ中心部の Hilton Colombo Residence にて、JICA(国際協力機構)主催の農業支援プログラムが実施されました。
Lakyotaからも学生が参加し、日本の農業技術・現場管理・品質意識について理解を深めました。

日本では当たり前となっている「丁寧な作業」「報連相」「チームワーク」といった習慣も、スリランカの若者にとっては新鮮な学び。
こうした異文化理解の場が、今後の就労支援に直結していきます。


■ 新入生の受け入れと学びの深化

11月17日、そして年明け1月5日には、Lakyota Educationの 新規生徒の入学が予定 されています。
授業では、日本語だけでなく「日本の働き方」や「生活マナー」も重視。

特にこの月からは、新しい学習プランとして以下のような取り組みが始まりました。

  • 日本語スピーキング強化プログラム
    → 朝の会で毎日2〜3名が日本語でスピーチを行う。
  • テーマ発表型プレゼンテーション
    → 各学生が「日本に関するテーマ」を調べ、他の生徒と共有。
  • JFT試験対策の強化
    → 漢字を中心とした定期試験を実施。

これらの学びを通じ、単なる語学力に留まらず、自分の言葉で伝える力を育むことを目指しています。


■ 日本文化への関心を深める10月

日本では10月に入ると、各地で秋祭りが盛んに行われます。
Lakyotaでは授業内で「日本の秋祭り」や「伝統行事(時代祭・高山祭・川越祭など)」をテーマにしたレッスンを開催。
学生たちは祭りの映像を見ながら、「日本の地域ごとの文化の違い」や「人と人をつなぐ行事の意味」について学びました。

日本語を「話す」だけでなく、「感じる」教育。
これがLakyotaが最も大切にしている理念です。


■ 最後に

スリランカではいま、日本での就労を目指す若者たちが着実に増えています。
Lakyotaの教室には、そんな夢を抱く学生たちの真剣なまなざしがあり、先生たちは一人ひとりの「未来」を支える伴走者として寄り添っています。

11月には日本から新たな講師を派遣して、生の生きた日本語でもって発音やリスニングを中心に教育に携わって頂きます。

日本語ボランティア講師の募集も随時受け付けておりますので、興味がある方はご連絡いただけますと幸いです。

株式会社センスフィア:

株式会社CenSphere – つなぐ、育てる、未来をつくる。 日本とスリランカを、教育と信頼で結ぶ国際ビジネスパートナー。

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